
住所:横浜市都筑区東山田4-42-15
Tel:045-593-0457
Fax:045-593-0458
URL:http://www.hirosugi.com/
ねじ穴を補強する、小さいけれど頼りになるヤツ!
使い勝手の良さで、世界から指名されるオンリーワン製品
~そしてそれは、こんなところに使われているよ! ~
■おもに産業機械の部品や、コンピューターなどのプリント基盤(コンピューターのICチッ
プを一枚の板の上に配線したもの。コンピューターの心臓)。
■自動車のエンジンのシリンダーヘッド:アルミ製で、つけたりはずしたりが多い箇所なの
で、ネジ穴がきかなくなりやすい。
■ゲームセンターのゲーム機のパネルを押さえるネジの穴など。
■ラジコン:キットはプラスチック製なので、ネジがゆるみやすい。シャフトもチタン製なの
で、そのネジ穴に使う。
■ロボコン:大学や高等専門学校で行われる、ロボットコンテストなどで使われる。
~社長さんインタビュー~
有限会社廣杉精機 代表取締役社長 佐々木 廣さん

■廣杉精機が作っているもの
部品やネジなど、細かく精密(せいみつ)なモノを生産
大学を卒業してすぐ、仲間数人で「町工場をつくろう!」といって会社を始めました。もともとあった佐々木製作所という会社を引きつぐ形で、武蔵小杉で創業したので、「小杉の廣(ひろし、社長の名前)」で、廣杉という会社名にしました。でもそこが手狭(てぜま)になってきたのと、自宅が横浜市都筑区にあり、たまたま自宅の近所にいい物件があったので、平成5年に現在の場所に引っ越してきました。
廣杉精機の仕事は、小さな機械部品やネジなどの細かい精密(せいみつ)なモノを製造し、販売することです。アルミ、ステンレス、鉄はもちろん、真鍮(しんちゅう)(銅と亜鉛との合金。黄色でさびにくい)や樹脂(じゅし)(プラスチック)などの加工もします。創業当時は使っている機械もアナログなものばかりでしたが、今は「NC自動旋盤(せんばん)」というコンピュータで動かす機械を導入し、精度の高いものを作れるようになりました。
今は「イリサート」という、わが社が開発したネジの穴を補強する製品が、主力の製品で、すべての生産品の20%くらいをしめています。とても小さなものですが、いろいろなモノづくりの現場で活やくしています。
■「イリサート」って何?
使い勝手のいい、ネジ山を補強する部品
簡単に、「イリサート」の説明をしましょう。ネジを使ってモノを固定させたいとき、金属などの固いところは、直接ネジを使うことができます。でも樹脂(じゅし)(プラスチック)とかアルミ・ジェラルミン・合金・ポリカーボネート・アクリル・ナイロンなどの柔らかいものは、何度もネジをとめたりはずしたりしているうちに、ネジ山がつぶれて、壊れてしまうのです。「イリサート」は、このようにネジ穴がこわれるのをあらかじめ補強し、予防するためのものです。
こういったネジ穴の補強部品は、昔から他の会社でも作っていました。でもそれらはバネを使っていたので、伸びやすいことが欠点でした。伸びてしまうとネジが入らなくなってしまうのです。そこで私たちは、かたい鋼(はがね)を切って削ってくりぬくという方法で、8年前に「イリサート」を開発したのです。
「イリサート」と一緒に、イリサートをネジ穴に入れる道具「イリサートドライバー」も作って、イリサートとのセット販売もしているので、お客さまに「使い勝手がいい」と好評です。現在は、海外への輸出も少しずつ始めています。


■廣杉精機の社員
お昼ごはんは、社員全員で一緒に
現在、社員は18名(男性8名、女性10名)います。平均年齢は50歳すぎくらいでしょうか。若い人では、30代が2人います。男性の8名は製造担当です。女性8名はパートさんで、製品の検査を担当しています。中には、創業当時から通っている(小杉から通勤中)70歳近い女性がいますが、経験も豊富で、とても有能な方です。検査は目視(もくし)(目で確認する)なので、ときには拡大鏡を使って、一日に何百、何千、という数の製品のチェックをしています。

わが社は、家内工業的なところがあり、とても家庭的・家族的な会社です。季節ごとに社員のイベントもあり、お昼ごはんは毎日、お弁当を18人全員で集まって食べています。
わが社では、「納期を守る」ということを絶対に譲れないこだわりとしています。ひとつの製品が小さいので、多いときで1か月に何十万個、という注文が入ります。通常でも「イリサート」が1か月に10,000個くらい。納期を絶対に守るために、機械は24時間休みなく動いています。私自身も営業と技術開発を担当していますが、社員のみんなもとても忙しいので、健康にはとくに気をつけてほしいですね。「健康であれ。健康がすべての資本」ということを、いつも言っています。
■会社をやっていて「よかった」こと「大変だった」こと
“技術”も開発しながらの仕事を、やりきるよろこび
「イリサート」の他に、受注生産と言って、図面だけもらって製品を作るという仕事もしています。精密加工の仕事は、形が複雑なむずかしい仕事を頼まれることが多いんです。つまり、その製品を作るための“技術”も開発しないといけない。どうやって作るか、どういう順番で削る(けずる)のかなど、製品になるまでにさまざまな苦労があります。でも、たいへんなのを承知で手をあげて仕事をいただいて、それをやりきったときが一番うれしいですね。仲のよい会社も多いので、仲間うちで助けてもらったり、助けたり、ということもあります。「できないことはない!」「あきらめない!」というのがわが社のモットーになっています。
大変だなと思うことは、人がたりないことです。地域の人を優先的に採用したいと思っているので、そうなると条件がせばまるし、なかなかむずかしいですね。
あとは、機械が故障したときも大変困ります。機械があるからこそ製品の生産ができるので、機械が故障すると納期に影響してしまいます。金属などを削る作業なので、油をたれ流しながら機械を動かしています。だから、火災が一番怖いですね。今の機械はコンピュータ制御なのですが、工場内の室温も高くなるので、冷やすための工夫も必要です。
■廣杉精機のこれから
「イリサート」の次の製品を開発中!
現在、他社が販売しているばね式のネジ穴補強品もある中で、どうやって「イリサート」を使ってもらうか、広めていくかということは、いつも考えていなければいけません。ものすごくせまい限られた世界の中での仕事なのです。
しかし、「イリサート」も今年で8年目になり、おかげさまで口コミなどでも広まり、最近ではピンポイントで指名され、注文が入るようになってきました。世界でオンリーワンの商品として、認められるようになったのです。
でも一方、会社を発展させるためには、つねに次のことも考えなければいけません。現在開発している製品について簡単に紹介しましょう。今までのネジ穴は「かたくてこわれないもの」というのが一般的な考えでした。だから「イリサート」も、比較的かたいステンレス鋼をけずって作っているので、コストも高いことが欠点でした。でも、「柔らかくてこわれてもいいネジ穴」というのもあるのではないか、という発想の転換をしたのです。こわれてもいいネジ穴というのは、軽くて腐食(ふしょく)しにくいアルミ製です。アルミ製は弱くてすぐにダメになってしまいますが、逆に使い捨てができるのです。
ステンレス製だと、電位差(でんいさ)というものがあって、時間がたつと腐食(ふしょく)するのですが、アルミ製なら電位差(でんいさ)が少ないので腐食しないという長所があります。ステンレスのネジ穴は、そのまま捨てることができないのですが、アルミならそのまま捨てられる。つまり、リサイクルができて、環境にやさしいのです。この製品は、もうじき発売を開始します。

■都筑の子どもたちへのメッセージ
●何かひとつ、興味を持てるものを作ろう
スポーツ、音楽など何でもいいので、何かひとつ興味を持てることを作ってほしいですね。好きなこと、興味を持てること、それがすべての始まりです。そこから、将来につながることが見つかるかもしれません。
あとは、ゲームやパソコンではなく、文字を読んで、手で書くことを大切にしてほしいですね。体を動かすことも大事です。子どもだって、体が基本なのですから。
~佐々木さんの休日~
■趣味&マイ・ブーム
お酒を飲むことが大好き。あとは、読書。江戸時代の小説や、剣豪(けんごう)小説(剣術にすぐれた人物を題材にした小説)が好きで、よく読みます。学生時代は、添乗員(てんじょういん)(団体旅行につきそい、客の世話をする旅行会社の職員)になりたいと思ったことがあったほど、旅行が好きでした。とくに、お金もほとんど持たずに、自転車で全国を回る無銭(むせん)旅行(りょこう)は楽しかったです。
■休日のすごし方
休日といっても、製造業は機械を止めることがないように、皆で交代するので、土曜日の休みは隔週になります。貴重なお休みの日は、庭いじりをしています。
■この街について
ひとことでいうと良い街ですね。でも、NTは東京には出にくいと思います。グリーンラインができて少しは良くなりましたが。佐江戸のあたりは開発が取り残されているという印象があります。
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倉重 (火曜日, 12 4月 2016 02:07)
お久しぶり。今は募集はかけてませんか?